「御宿かわせみ(十六)」平岩弓枝

「煙草屋小町」の中のるいの今まで(結婚する前)の着物の描写に「黒っぽい固い感じの着物を着て来たが」とある。黒っぽいの着てたの?と思う私。確かに宿の女主人だし、おまけに若いから、落ち着きや貫禄を見せる為に、そう派手派手しいのは着ていないとは思ったけど、まさか黒っぽいものが多かったとは。なんとなく意外な気がした。話の中では呉服屋の番頭さんが「結婚したのだからもそっと明るく綺麗なものを」と言われ、「今まで着た事のない浅黄色に菖蒲の単」を仕立てる事に決める。明るくて柔らかそうな黄色よりちょっと薄い感じの色ですが浅黄色って。そう派手とは思わないけど、これでも「派手過ぎたんじゃあないか」とるいは色々考えてしまうのでした。

黒っぽい固い感じの着物を着ていても美人だったのだから、こんな明るい色の着物を着ようものなら、それはそれは華やかで美しいでしょうねえ、なんて思う。

「八丁堀の湯屋」は題名のわりには、オチが暗くてやりきれん話だった。お役人さんが風呂屋で先に入ってた12の娘に狼藉を働いたらいかんよ。

新装版 御宿かわせみ (16) 八丁堀の湯屋 (文春文庫)

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