「鬼平犯科帳(八)」池波正太郎

「あきれた奴」で小柳が賊を逃がして、結局はその賊が仲間をつかまえて戻って来てめでたしめでたしな訳なのだけど、その賊が戻ってくるのに半年かかっていて、その間ずっと小柳が牢に入ってる。えらいのんびりした話だ。鬼平が小柳を信頼してとの事だろうが、賊を逃がした盗賊改方を半年もほっぽっとくなんて。今だったら大変だろうなあ、ってその頃かって大変か。ちゃんと賊が戻って来て本当に良かったよ。

「明神の次郎吉」はいい盗人の話し。いい盗人ってのもおかしな話だが。鬼平でよく出てくる「悪い事をしながら善い事をし、善い事をしながら悪事をはたらく」がぴったりの次郎吉。そういうゆるさが意外に大事なのかもなあなんて思ったり。善ばかりでは気がつまり、悪ばかりではよろしくないし。妙に腑に落ちる話でした(腑に落ちるって日本語はないか)

新装版 鬼平犯科帳 (8) (文春文庫)

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