「御宿かわせみ(二十六)長助の女房」平岩弓枝
表題の「長助の女房」が大変にいい。長助の頑張りが認められたのや、それに対しての周りの人間の優しい心遣いも素敵だし、なにより長助の女房の慎ましさと岡っ引きの内儀さんとしての賢さと、かわいらしさがなんとも。神林の殿樣を見てすっかり舞い上がってしまい、「次からは私が蕎麦粉を届けに行こう」と思う下りは、女心〜!がチャーミング。いやーいいお話でした。
「人魚の宝珠」のるいと東吾の馬鹿馬鹿しいまでもの夫婦のじゃれあいのシーンが好き。結婚してからは、そういうるいと東吾のナイスラブラブシーンが減ったのは個人的にはちょっと残念。馬鹿馬鹿しいけど微笑ましくて好きなのだ。
そして神林の殿様はどれ位に素敵なのかというのが気になる長助の女房のぼんやりぶり。「光源氏か在平様かというような笑顔」「団十郎も菊之丞にもかなわない」「上品で凛として御優しくて」。どんなだ、どんなに素敵なんだ通之進。
- 作者: 平岩弓枝
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/08/10
- メディア: 文庫
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