「快楽急行」島田雅彦

素敵な小説な小説を書けるというだけでもすばらしいのに、物を考える事に長けていて、各方面への知識が豊富で、女性に対して非常に紳士で、冗談が利いて、自分のしたい事をさらっとできるだけのお金は持っていて、おまけに男前というのは、いささか出来過ぎなのではないかと、これを読みながら思った。

これに収録されているエッセイには妻と息子という台詞が良く出てくるが、島田さんの子供が娘じゃなくってよかった、息子さんでよかった、と私はしみじみ思った。島田雅彦の娘というポジションはなにやらたいそう羨ましい。きっと溺愛しつつも自分の娘を一人の女性として見たり、対等に接したりするであろう、それをエッセイに書かれては、羨ましくて悶えそう。嫁になれるか娘になれるかだったら、迷わず娘を選びたい。そんな事はあり得ない話しなのだけども。

自分の声を変えたって話に感心した。そばで聞いたらどんな声なのか。いつか島田さんが話すのを側できける機会があったらいいのに。…無理か。

快楽急行

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