「飛奴 夢裡庵先生捕物帳」泡坂妻夫

夢裡庵先生捕物帳というシリーズで短いお話がいくつか入ってる。泡坂妻夫の時代物を始めて読んだのだけど、これは結構好みかも。派手な捕物シーンなどはあまりないけど、出てくる人の心の動きでゆっくり話が進んで行く感じ。所々にかなり細かい着物の描写があるのも好みだ。この中では「飛奴」と「金魚狂言」って話がよかったな。

所で話とは関係ないのだけど、「男前」って言葉は誰かに向かって使う時「男前だねえ」というのではなく、「男前がいいねえ」とか「男前は悪く無いねえ」というように使うのが正しいのかな。これを読んでいても「御宿かわせみ」を読んでいても、そういう使い方をしていたので。今、新解さんを調べてみると用例では「彼はなかなか(の)男前だ」という使い方で書いてある。昔風の使い方って事?。こんな事も判らないとは、物を知らなくて恥ずかしいばかりだ。