「流れる」幸田文

主人公が芸者の家にお手伝いとして入り、その中の人(玄人)を主人公(しろうと)が観察していくお話。梨花(主人公)の賢さとか目の良さとかが鼻につかなく、その家の騒ぎの渦中に巻き込まれないようにと客観的に見ていよう思いながらも、優しさをかけてあげたりするシーンがなんとも。芸者さんたちの立ち振る舞いの描写が色っぽい。中のベテラン芸者の「女は男が変わる度に情が深くなる」という台詞が、なんだかそんな風とは全然まるっきり逆なだけに、妙に感心。これを読んでいると女もいいもんだって思った。私にしては珍しい。

この本は表紙もシックで非常に品の良いセンスの有る表紙なのに、ここには表示されなくて残念。

流れる (新潮文庫)

流れる (新潮文庫)