「鬼平犯科帳(十九)」池波正太郎

昨日書いたはずの物が消えている事に気が付いたこの切なさ(もう一回書くよ)。


「逃げた妻」と「雪の果て」の藤田彦七といい、「引き込み女」のお元といい、そんな事をしたら悪い方向へいっちゃうよ!、なんでそんな事をするんだよ!と端から見てると思えつつ(中でおまさも「どうしていいかわからないよ!」とお元の事を思って悩んでる)、でもそうなってしまうのが人ってものだよな…なんて。

鬼平では「こういう理由だからこういう結果」とバシッと決めてしまわずに、いけないとわかっていても流れていってしまう切ない心模様が、書かれていてぐっとくる。「霧の朝」のおきねの駄目さなんかも、頭に来てもなんとなく「しかたないか…」なんて。


現代劇だと生々し過ぎて読めないものが、時代劇だとちょんまげに緩和されて読める私。

新装版 鬼平犯科帳 (19) (文春文庫)

新装版 鬼平犯科帳 (19) (文春文庫)